こんにちは、遠藤奏恵です。
簡単に自己紹介します。
プロフィールというもの、特に演奏する者が自分で書くプロフィール文章に、以前から何となく違和感を感じるところがあり、もっと肩の力を抜いた感じで、自分の紹介ができたらいいなと思っていました。
さっそくはじめてみます。
北海道名寄市出身です。
とっても小さい時にピアノを始めました。最初の先生は母です。楽しかった記憶があります。特に連弾するのが。父は音楽愛好家で、おかげで音楽を聴く機会に恵まれていました。
その後旭川と札幌に引っ越し、色々な先生にお世話になりました。すべての先生のお名前を書くと長くなってしまうので、ごめんなさい。
札幌で最後にお世話になったのは札幌コンセルヴァトワールの棚瀬美鶴恵先生です。先生からの強い支えもあり、札幌藻岩高校を卒業した後、渡仏しました。
フランスに来ようと思った一番の理由はピンと来たからです。高校生の時、音楽院の研修旅行で初めてパリを訪れて憧れの街になりました。運命的な流れから偉大なピアニスト、フランス・クリダと出会い、幸運なことに、彼女が亡くなる直前まで10年以上に渡って側で学びました。ピアノだけでなく、音楽、そして芸術、哲学、文化について、すべてにおいてです。フランス・クリダのアシンタントを30年以上つとめたポール・ブラシェールとも長く勉強し、ピアノの弾き方、音の出し方、楽譜の読み方、イマジネーションの重要さをはじめ、広い範囲にわたり深く教えてもらいました。また彼のおかげで、ピアノに留まらず、存在する素晴らしい演奏録音もたくさん知りました。今でも何かあると聴いてもらい、アドバイスを求めます。
話は戻って、渡仏後は、フランス・クリダクラスで勉強するために、パリ・エコールノルマル音楽院に在学し、ピアノ科、室内楽科のコンサーティスト高等ディプロマを審査員満場一致で取得しました。その後同音楽院ピアノ伴奏科にも在籍して、伴奏高等ディプロマも取得しました。この伴奏が今ではライフワークのひとつとなっています。(室内楽はニーナ・パタルツェク先生、伴奏はロール・リヴィエール先生にお世話になりました。)
フランス・クリダからは、パリ国立高等音楽院教授でいらしたブルーノ・リグットもご紹介いただいて、レッスンを受け、彼がマルセイユの音楽院にクラスを持っていたとき、通っていたこともあります。
一応受賞歴を載せておくとこんな感じです。スメタナ国際コンクール(チェコ)3位、アルカション国際コンクール3位、ジャン・フランセ国際コンクール1位なしの2位、イルドフランス国際コンクール1位(フランス)、ロドス国際コンクール(ギリシャ)1位、チェリストのジュリアン・ラジニアックとのデュオでノルマンディー国際フォーラム(フランス)グランプリ等。でもコンクールに挑戦することは多くありませんでした。当時、20代前半から生活のために必要な仕事の量が多く、自分のキャパシティではコンクールに注げるエネルギーがほとんど残っていなかったということもありますが、コンクールというものも苦手でした。プロフィールや履歴書には一応書くけれど、賞をいただいたのも大きなコンクールではありませんし(賞をもらうことは簡単ではなかったとは思いますが)、その時の自信には少し繋がったかもしれないけれど、今となってはほとんど何とも思っていません。参加するコンクールのための旅行だったり、出会いだったり、そういった良い想い出があることを、今特に嬉しく思っている気がします。
活動としては、フランスを中心にソロリサイタルや室内楽のコンサート、伴奏で演奏したり、ラジオに呼んでいただいたり、CD制作をしたり、他の国でも機会をいただいたりしています。本当にありがたいという気持ちです。演奏しに訪れた国は、ドイツ、イタリア、ベルギー、スペイン、ギリシャ、ボスニア、スロヴェニア、スイス、ヨルダン…、こんな感じかな。やはり良い想い出がたくさんあります。弾く機会をいただいていなかったら訪れることのなかった場所もあると思います。
こういった活動のほか、エコールノルマル音楽院で10年間声楽クラス、ヴァイオリンクラス、チェロクラスの伴奏員として働きました。レジス・パスキエ、ローラン・コルシア、フロリン・ジゲティ、リアナ・ゴージア、アントワンヌ・グラー、ラリッサ・コロス、ジュンヌヴィエヴ・トュリエール=ソメール、エディット・セリグ各氏のクラスを担当しました。貴重な経験でした。パリ・スコラ・カントルム音楽院では今もパトリス・フォンタナローザ氏、ヴィオレタ・スマイロヴィチ氏のヴァイオリンクラスを定期的に伴奏しています。ヨーヨー・マさんやガリー・ホフマンさんのマスタークラス伴奏や、ロン・ティボー国際コンクールなど大きなコンクールの公式伴奏ピアニストを務める幸運にも恵まれました。
フランスのレーベルForlaneから2枚のソロCDが出ています。1枚目は、ゴットシャルク、ヴィラ=ロボス、ヒナステラのピアノ曲による「Récital Américain」、2枚目のアルバムは「Escapades」、グリーグ、ボロディン、ルネ・バトンの作品です。どちらも様々な場所で取り上げていただいたり、素敵な評をいただいたりしていて感謝です。私自身も特に「Escapades」、気に入っています(笑)。
日本では「Récital Américain」がまだもしかして手に入るかもしれません。その他日本で手に入るものとしてはソプラノ歌手・駒井ゆり子さんの伴奏で参加している、フランス近代歌曲集「ポエジー」があります。
レパートリーはクラシック、ロマン派、近代、現代音楽までなんでも弾きます。現代の作曲家の方々と一緒に仕事することもあり、それはなんとも言えない贅沢な時間です。ローマ大賞受賞作曲家のミッシェル・メルレ先生や、ナディア・ブーランジェーのアシスタントでいらしたナルシス・ボネ先生の作品の初演などもさせていただきました。
教えることも私が情熱を傾けることのひとつで、現在、先述のパリ・スコラカントルム音楽院でピアノを教えています。
パリ郊外のオールネイ・スー・ボワのコンセルヴァトワールで伴奏員として働いています。主に弦楽器担当です。
また、アマチュアコーラスの伴奏と指導にも携わっています。
夏期講習会でも定期的に指導と伴奏をしています。この2020年は全て中止になってしまいましたが、また来年以降このページでもお知らせしたいと思います。
これからまたさらに新しい仕事も始まる予定です。
伴奏という仕事の性格上、外から見えることが少ないのですが、実は結構仕事しています。コンサートという、外に見える形態がない時も弾き続けています。重要な本番を控えたソリストの練習版パートナー(ピアノパートまたはオーケストラパート)となることもあるし、非公開の録音録画やオーディション伴奏などの仕事も多いです。レッスン伴奏でも、大量の準備が必要なことはよくあります。試験シーズンはずっと弾きっぱなしということも少なくありません。今思うと、昔、小さかった頃には想像もしなかった音楽家としてのあり方です。あまり表に出なくても大切な役目の仕事、他の分野でもありますよね。ピアニストっていうと、コンサートピアニストをまず想像する事が多いのではないかなと思います。でも実はいろいろな形があります。私はこの幅広い、充実した、豊かな音楽生活を嬉しく幸せに思っています。大変な時ももちろんありますけれど!
だいぶ長くなってしまったので、この辺りで終わりにします。
好きなのは、読書、美術観賞、散歩、猫、自然、美味しいものを食べること。
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